病院や整骨院で、首や腰の牽引療法を行っている人は多いと思います。効果を感じている方もいるとは思いますが、そうでもない方も多いでしょう。昔から存在する牽引療法ですが、近代の治療においての牽引の役割について解説していきます。
牽引療法の効果
牽引療法は、脊椎の軟骨(椎間板)の内圧を下げ、神経の圧迫を軽減したり、筋肉や靭帯のストレッチ効果も期待できます。
私の治療経験の中でも牽引により症状が緩和してきた人を多く見てきました。しかし、これだけメジャーな治療法にも拘わらず、効果があるという決定的なエビデンスが無いのも事実です。
牽引療法をやってはいけない人

まず、ギックリ腰や寝違えなどの急性症状に牽引をやってはいけません。さらに、リウマチ等の脊椎性炎症疾患、分離症やすべり症、重度な骨粗鬆症など禁忌は多いです。顎関節症では首牽引で負担がかかることもあります。
上記に当てはまらなくとも、そもそも牽引療法が合わない人も多いので、毎回治療後に痛みや関節の不安定感を感じたり、1ヵ月くらいやっても効果がないなら継続する意味はありません。
メインの治療とはならない
現代の治療において牽引療法はメインの治療にはならないと思います。私も病院勤務時代や開業当初は牽引を使うことも多かったですが、現在は無くても問題ない機器となっています(現在の利用率は当初の1/3以下です)。
牽引に否定的という訳ではなく、それを上回る多くの治療法や治療機器が存在する現代では、特段必要ではないという思いです。
首や腰を治療中の方が、改善が見られないからといって牽引療法を追加したところで大きな変化は期待できないですし、牽引だけでゴールにたどり着くこともないでしょう。
牽引療法は昔からある治療なので、”牽引ファン”のような方もおられますが(逆に嫌いな方も多い)、やはり現代治療においては脇役の域を出ないので、首にせよ腰にせよ他の治療のほうが大切です。
メイン治療+αとしてなら地味に活躍してくれるかもしれません。
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